[AION:COSMOS.LIFE.ART.UNITY]
KENJI KOBAYASHI ART WORKS1973-1990

体裁:B4/244頁/上製本(紙クロス装丁・プラスティック・紙のダブルカバー掛け)/総写真図版605点(内カラ−202点)発行:用美社 定価:20,000円
*1973から1990にかけて製作された小林健二の作品を殆どフルカラーで掲載した大部の作品集。


小林健二
  このままだとみんな死んでしまう。誰ものぞんでいるわけではないのに、もし人々が皆自分たち自身の手によって亡んでしまうのであれば、私たちが築いてきた歴史や物なんて何の意味もなくなってしまう。
 鉄 、鉛、木、油絵具による小林健二の1988年の作品のタイトルである。小林健二が望むと望まないとにかかわらず、彼の作品には、彼の強い意志、決意といった社会に対する敢然とした人間としての有り様が宿っている。彼の心の深奥に有る力ある者への抵抗、弱者への優しいさという信念が溢れている。
 小林健二の秀でた資質は、その潔い精神とともに、見事なまでに熟知し研究した素材、道具、材質感、その効果、耐久性への学び姿勢にある。
(中略)
 小林健二は1957年東京の新橋に生まれている。刀匠であった父の厳しい仕事への態度はそのまま彼に継がれている。新橋という江戸の粋を残した街、人間として見事な生き様をした父の姿、こうした中で生まれ育った健二は、やがて高輪の泉岳寺の近くに居を移すことになる。より洗練されたこの街で、彼は道具への興味と愛着、人々の生活の息吹と潔さを肌をもって感じたに違いない。
 彼は過去の自分の作品をあまり見たくないと言う。さしずめこの作品集はその過去の膨大なエネルギーの固まりでもあるわけだが、想像上の生物を鉛筆と醤油で描いた彼17歳の作品より始まるこの作品集からは彼の旺盛な制作欲がいたるところで存分に見られる。
(中略)
 彼を知って約1年、私の不調の時など、彼の強い励ましと勇気がどれだけ私を助けてくれたことか。言葉に尽くせない。こうして作品集が出版され、秀でた作家としての彼の全貌が世に改めて示された以上、ますます緊張感と責任が彼にのしかかってくることは間違いない。彼が常に口ぐせのようにつぶやく「良い仕事がしたい」「社会がよりよくなってほしい」というこの言葉とともに、小林健二が今後より多くのより豊かな仕事を残してくれることを深く信じてやまない。
                                                 用美社 岡田 満

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